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Q1:法律が改正され、自筆証書遺言書の方式が変わったと聞きました。変わったのはどのような点でしょうか。また、自筆証書遺言書を正確に作成するには、どのような要件を満たさなければならないでしょうか。

A:自筆証書遺言書は、従来、全文を自筆で記し、日付を記入し、署名と捺印をしなければなりませんでした。しかし、財産の一覧(財産目録)まで自筆で記さなければならないとすると、遺言書を作成することが煩雑になるため、平成30年7月の民法改正により、平成31年1月13日より財産目録についてのみワープロ等による作成が認められることとなりました。但し、ワープロ等により作成した財産目録には自筆による署名と捺印が必要です。また、その他の部分については、従来通り全文自筆で記し、日付の記入と署名捺印が必要です。財産目録については、ワープロによる作成の他に、通帳の写しや登記事項証書により作成することも可能です。

Q2:父に時々認知症のような症状が出ます。そろそろ遺言書を作りたいと言っていますが、父のような場合でも遺言書は適法に作ることができますか。

A:遺言書は、満15歳以上であれば、作成することが可能です。但し、遺言書を作成するためには、意思能力が必要です。認知症の症状が出ている状態で作成した遺言書は無効となるため、事前に医師に遺言能力の有無を確認するため、診断を受けることをお勧めします。公正証書遺言を作成する際には、公証人が本人と面談したり、担当医の意見や診断書を求めたりし、本人の遺言能力の有無を確認し上で客観的に遺言を公正証書化するので、極力、公正証書遺言を作成することをお勧めします。

Q3:実親の相続手続きを行わなければならなくなりました。相続財産中、預金等の通帳は、現段階で実家に同居していた兄が保管しています。どの位預金があったのか尋ねても教えてくれず、なかなか相続手続きが始まりません。兄が預金を使い込んでいないか心配です。相続預金の取引経過を確認する方法はありませんか。

A:平成21年に、最高裁により、「預金者が死亡した場合、その共同相続人の一人は、預金債権の一部を相続により取得したにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる」と判決がなされました。各相続人は、保存行為として金融機関に対し開示を請求することができます。その際、相続が開始したことが分かる戸籍謄本や被相続人との繋がりの分かる戸籍謄本等を資料として提出することが求められます。

Q4:知り合いが無くなったのですが、故人には身寄りが無く、部屋の大家さんの話では、遺品には財産はほとんど無かったようです。私以外に交遊があった者もほとんどいなかったようです。また、故人は、生活保護等の公的扶助は受けていませんでした。なんとか故人の葬儀をしてあげたいのですが、こういった場合私費で葬儀をあげてあげなかればならないでしょうか。

A:生活保護法18条2項では、故人の居住地を管轄する保護の実施機関は、故人が亡くなる際に、葬祭費用に充てる金品を所持していなかった場合、故人が生活保護を受給していたか否かに関わらず、葬祭扶助の決定を行うことができると定めており、その際に、葬祭を行おうとする者に資力があるか否かも問われません。福祉事務所等に相談してみると良いでしょう。

Q5:現在、配偶者と別居しています。婚姻を継続するか迷っています。子供がいるのですが、離婚する場合に備えて本などを読んでいると、親権や監護権という言葉が出てきます。違いがいまいち分からないのですが、教えていただけますか。

A:親が未成年の子供を養育し、その財産を管理し、代理人として法律行為をする権利義務を親権と言います。親権は、財産の管理権や子供の法律行為に対する同意権からなる財産管理権と身分行為の代理権、居所指定権、懲戒権、職業同意権からなる身上監護権に分けられます。監護権とはこの身上監護権を指します。離婚をする場合は、合意又は裁判により、両親のどちらかを親権者とします。身上監護権は、親権に含まれるため、通常は親権者と監護権者が一致しますが、例外的に、親権者が子供に対し監護権を行使することが不都合と認められる事情がある場合は、親権者と監護権者を別々に定めることが認められます。

大分県行政書士会大分中央支部では、毎月第一、第三金曜日に大分市役所2階市民相談室に於いて、午後1時から4時まで無料相談会を開催しています。お気軽にご利用下さい。

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